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子供を作ろう

プライベートや仕事に色んな不満が出てきた私は、子供を持ちたいと思うようになってきた。
そうと決まれば子作りのもう一人の担当者となる夫の了承を得る必要がある。
特に子供好きでも嫌いでもなさそうな彼だが、レストランや電車で子供が騒げば嫌そうな顔をするぐらいなので、私と同程度に子供嫌いであろうと思っていた。
「子供欲しいんだけど」と切り出した私に夫は「育休の後職場復帰して共働きできるなら良い」と答えた。
人によってはひどいと思われそうな回答だ。
私はなるほどと思った。おそらく私が夫でもそう答えるだろう。生活水準を下げたくないのだろうなと思った。
子供を持つこと自体には反対されなかったのは意外だった。
あんなにうるさいし金かかるし自分たちの自由気ままなハッピーライフが崩壊するのに?と思ったが、それを言うと「じゃあ嫌だ」と言われそうなのでやめておいた。
かくして、我が家の妊活は始まった。
妊活は私の趣味となった。新しいことを始めるのはワクワクする。子供ができる仕組みについてネットで調べる。生理開始約2週間後に排卵し、排卵日前に性交を行うと妊娠しやすい。排卵日までの間は体温が低い低温期。排卵日にがくんと体温が下がり、排卵後は体温が高い高温期。
また排卵日を特定するために毎朝基礎体温をはかるらしい。実に面倒臭そうだし、婦人体温計を買うのにはお金がかかる。
それよりは、排卵日付近に尿をかけて排卵日を特定するという、排卵検査薬を使った方法が短期集中型で良さそうだ。
排卵が起こる前に大量にホルモンが放出されるのをLHサージというらしい。LHサージが始まると排卵検査薬が陽性になる。排卵は、LHサージのピークから16~24時間後に起こるらしい。また、卵子の寿命は排卵後12~24時間、ただし卵子の受精可能時間は排卵後の6~8時間。精子の受精可能期間は3日間(私は専門家ではないのでこれが本当かは知らない)。私はこの仕組みをExcelでグラフにまとめるまでの気合の入りようだった。(話がずれるが私は昔からExcelを作るのが大好きだ。グラフだけでなく、旅行の日程表、仕事の線表など、ごちゃごちゃしたデータがスッキリと一つの表やグラフにまとまると得も言われぬ達成感に包まれる。)
早速私は薬局で排卵検査薬を買ってきた。陽性、つまりそろそろ排卵しそうだと、濃い青色の線が2本表示されるらしい。
生理開始日から10日、そろそろ排卵日が来そうだ。尿をかけてみる。濃い青色の線が1本と、薄い青色の線が1本表示された。どうやら陰性のようだ。
次の日。濃い青色の線が1本と、薄い青色の線が1本表示された。今日も陰性のようだ。
また次の日。濃い青色の線が1本と、もう1本の線は昨日より濃いようだ。でももう一本の線より濃いかはわからない。
なんだかよくわからないのでとりあえずその日にコトを実行することにした。
次の日、いまいちハッキリしない排卵検査薬に飽きてしまった。2日ぐらいサボり、また気が向いて試してみた。濃い青色の線が1本と、薄い青色の線が1本。排卵は終わったのか?まだなのか?さっぱりわからない。
まあとりあえず終わっただろうと仮定し、この月の子作りは終わった。
生理予定日までの間、子供ができる仕組みについてネットで調べものをし、しつこく夫に「ねえ、赤ちゃんできてるかなあ?できてたらどうしよう?どうする?」と答えの出ない質問をしてワクワクして過ごした。
ほんの少し前まで一生子供なんていらないとほざいていたのに、現金なものだ。
早く赤ちゃん来ないかなーと呑気に浮かれていた。
生理予定日を少しすぎた日、生理はいつもどおりやって来た。がっかりした。そうかー、まあそんな一回ではできないよね、と思った。
仕方ない。またトライしてみよう。前回使った排卵検査薬は排卵してるんだかしてないんだかさっぱりわからなかったので、今回はデジタルのものを使ってみることにした。陰性の場合はただのマル、陽性になるとニコちゃんマークが表示されるという。実にわかりやすい。アナログのものに比べると高いが、そのかわり成果が出るのならそっちの方が良い。
子供が欲しいとなればもう今すぐにでも妊娠したいのだ。私はせっかちな人間だ。結果の出ないことをダラダラ続けたくない。今回はデジタル排卵検査薬を使った方法を試すが、全部で3周期、つまり今回を入れてあと2周期やってできなかったら、産婦人科に行って、本格的に不妊治療を始めようと決心した。
またしても生理開始日から10日目から検査薬を開始した。いつまでたってもただのマルしか表示されず、もしかして私は排卵していないのか?と疑い始めた予想よりだいぶ遅い18日目、ついにニコちゃんマークが表示された。その時夫は会社の飲み会中だった。私はこりゃいかん!と焦り、飲み会中の夫にニコちゃんマークの写真をLINEで送り、大変!排卵する!早く帰って来いと告げた。正直、その日コトに及んだかは覚えていない。その日か次の日に実行した気がする。この排卵日付近に計画を実行せねばならないという任務は、後に夫婦間で大問題に発展するのだが、この頃はまだそんなことが起ころうとは思っていなかった。