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仕事と出産適齢期

前回の続きのような話だが。

よく妊活している女性が言うのが「30代で妊娠しづらくなるとか、妊娠がこんなにも難しいとか知らなかった。学校で教えといてくれよ」ということだ。本当にその通りだと思う。(たしか小学校か中学校で将来設計年表?を書く授業があったような気がするが、その判断材料として提示してくれても良かったのでは?)

だがそれ以上に教えておいて欲しかったのが、就職した時は仕事に希望を持ってて、何をやっても新鮮で楽しくて、成果を出して評価されることにやり甲斐を感じても、ずーっとその楽しさが続くとは限らないということだ。

自分だって、まさか「仕事楽しいなあ」と思っていた1年後に「もう辞めたい、今すぐ辞めたい、もう嫌だ」と思うようになるとは思ってもみなかった。もちろんそれは年齢の問題だけではないし、ずっと右肩上がりで仕事の楽しさが持続する人だって多いだろう。

でも30代というのは、そうなりやすい時期なのだと思う。勤続10年を超えて、下の年代が追い上げてきて、自分のポジションはだんだんと後輩の指導をする立場になり、かといって大きいプロジェクトを仕切るほどの立場でもなく、なんかちょっと中途半端な中だるみの時期なのだと思う。あと周りの友達が結婚して仕事を辞めたり出産して産休・育休に入りだして、自分もそっちの道に行こうかな?と人生の岐路に立つ時期なのだろう。

こんな風に思うのが自分だけじゃないんだなあと思ったのは、東村アキコの「東京タラレバ娘」を読んだ時だ。東京タラレバ娘は本編の漫画も胸に刺さるものがあるのだが、おまけの巻末漫画がすごい。特に私が共感したのは6巻の巻末漫画だ。ある読者の女性が、若い時に結婚寸前の彼氏がいたのだが彼氏の転勤について行くのが嫌で別れたのに、今となっては仕事に飽きてしまって転勤でどこだって全然ついて行く、仕事辞めたい、若い頃はバリバリ仕事してて辞めたくなんてなかったのに、という話だ。

自分以外にも同じような人がいた!と思った。

こんなこと、聞いたことがなかった。これこそもっと前に教えておいて欲しかった。

女性のお仕事漫画は2000年代頃から増えてきたように思う。それまでは仕事や会社が出てくる漫画といったら腰掛けOLみたいな女性しか出てこなかったが、安野モヨコの「働きマン」やおかざき真里の「サプリ」のような、女性が男性と肩を並べて、時には男性社会の中で葛藤しつつもバリバリ仕事をする漫画が増えてきた。(ちなみにサプリは著者がたしか元博報堂社員で、その時の体験を元に描いたんだと思うが、今この内容はまずいんだろうなあ…という激務っぷりだ。激務でも超高給取りだし男性ならモテモテだし社員が納得して働いてんなら良いんじゃ…というのが私の意見だがまあそれは良い。)

だがそれらの主人公達は若く(だいたい27、8歳?)、やれば成果が出て、仕事がキツイけど楽しくて仕方がない時期なのだ。もちろん「仕事はほどほど」派や、仕事のやる気のない登場人物も出てくるが、大抵彼らは若い時からそういう性格の人として描かれている。「どういうわけか30過ぎて仕事がつまらなくなった」という人物はいなかったように思う。その点で東京タラレバ娘はすごいと思うのだ。33歳という年齢がリアルだ。

30を過ぎたあたりで仕事がつまらなくなる、辞めたくなる、という人が多いということをもっと早くにわかっていれば、対策の取り様があったのにと思う。

もちろん、だからいつでも逃げ道を確保できるように結婚しておきましょう、という意味ではない。そんなようなスランプに似た状態に陥るケースが多いこと、そんな時にスランプをどうやって乗り越えた人がいるのかをもっと早くに知りたかったということだ。

そもそも、何歳で結婚して、何歳で仕事で大体このぐらいのポジションになって、何歳で出産して、というロールモデルが曖昧な気がする。私の会社では、というか多分大体どこもそうだと思うが、30前後で主任に昇格する。私は絶対出産するなら昇格してから、と子供を持ちたいと思う前から考えていた。育休がブランクとなり、育休が明けて復帰してもしばらくは時短勤務になるため、昇格しづらいからだ。現に、私の知り合いにも昇格前に出産し、40代の今もそのまま昇格していない人がいる。(彼女の希望で昇格しないのかもしれないが。)だから、妊活を始めてなかなか妊娠に至らないときも「もっと早く妊活始めれば良かった」とは一度も思わなかった。きっともっと早くに妊活を始めれば妊娠できる確率も高かったのだろうが、それで妊娠できても育休復帰後になかなか昇格できなければきっと出産を早まったと後悔すると思ったのだ。

会社では5年後10年後ののキャリアプランを書かせられるが、そこに結婚適齢期や出産適齢期を踏まえての人生設計は考慮されていない。それは私が今まで男性の上司の下にしかついたことがなく、女性の上司ならそういったことも踏まえてアドバイスをくれたのかもしれない。男性の場合は結婚も出産もキャリアに影響しないからだ。だとしても、それは個人の裁量に任されるべきではなく、会社の方針として、人生全体を考慮したキャリアプランを作成させるようにしなければならないと思うのだ。プライベートなことだからそこまで踏み込むのは問題になるのだろうか?